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2012年3月24日 (土)

法楽寺

法楽寺は、大阪市東住吉区山坂にある真言宗泉涌寺派大本山の寺院で、山号は紫金山、院号は小松院。通称「たなべのお不動さん」ともいわれています。

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法楽寺の開基は、保元や平治の乱で戦死した兵士の霊を敵味方の区別なく葬りたいとする清盛の嫡子、小松内大臣・平重盛の厚い信仰心から治承二年(1178)創建し、源義朝の念持仏であった如意輪観世音菩薩を安置し、壮麗な伽藍が営まれたことが起源という説と、この寺を基点として河内源氏の動静を重盛が探ったとする説とがあります。

院号の小松院は、小松の大臣(おとど)と呼ばれた重盛にちなみ、紫金山(しこんざん)との山号は、当山に奉安する「紫金二顆の仏舎利」に由来するとされています。紫金二顆の仏舎利とは、純金のような輝きをはなつ二粒の仏舎利を意味します。
この二粒の仏舎利の由緒について、法楽寺では『平家物語』「金渡」の説話に関係があるとしています。

『平家物語』「金渡」

すべてこの大臣は滅罪生善の御志深くおはしましければ
我が朝にはいかなる大善根を為置いたりといふとも子孫相続いて後世弔はれん事有難し
他国にいかなる善根をもして後世を弔はれん
とて安元の比ほひ鎮西より妙典といふ船頭を召し上せ人を遥かに退けて対面あり金を三千五百両召し寄せて
汝は聞ゆる大正直の者なればとて五百両をば汝に得さす
三千両をば宋朝へ渡し千両をば育王山の僧に引き二千両をば帝へ参らせて田代を育王山へ申し寄せて重盛が後世弔はすべしとぞ宣ひける
妙典これを賜はり万里の煙浪を凌ぎつつ大宋国へぞ渡りける
育王山の方丈仏照禅師徳光に逢ひ奉りてこの由申しければ随喜感嘆してやがて千両をば育王山の僧に引き二千両をば帝へ参らせて小松殿の申されつるやうを具に奏聞せられければ帝大きに感じ思し召して五百町の田代を育王山へぞ寄せられける
されば日本の大臣平朝臣重盛公の後生善所と祈る事今にありとぞ承る

(現代語訳)

平重盛公は、自身の来世の為に善根功徳を積んでおきたいが、日本では子子孫孫に先祖の後生を祈ると言うことは難しい、ということから、正直者で有名であった妙典(みょうでん)という船頭に黄金三千五百両を託して、宋の仏教の聖地、育王山(いおうさん)との結縁を求めます。
その内の一千両は育王山の僧達へ、二千両は宋の皇帝に贈って、伽藍を維持するための田畑を皇帝から育王山へ下賜して貰うためのものであり、残りの五百両は妙典への手間賃でした。
妙典が、困難な船旅を経て宋へ渡り、育王山の方丈、佛照(ぶっしょう)禅師に逢って重盛公の意志を伝えると、禅師は大変に喜びます。そこで妙典は、重盛公の指示通り、育王山の僧達に一千両を贈り、そして皇帝には二千両を贈って、重盛公の意を詳細に伝えます。すると、皇帝も重盛公の志に感じ入り、五百町の田畑を育王山に下賜し、重盛公のより良い来世の為としたのでした。

この時、佛照禅師が、重盛公の仏法に寄せる志の篤さに感じ、育王山伝来の佛舎利二顆を贈ったというのが、法楽寺伝来の二粒の仏舎利であるというのです。

元亀2年(1571年)、織田信長軍の侵攻による兵火で伽藍は焼失してしまいました。正徳元年(1711年)から本格的に復興を開始し、堂塔は大和国・宇陀松山藩織田氏殿舎が移築され、現在に至るまで山門・本堂に残されています。
その大和松山藩主は、信長の次男・信雄を祖とするので、信長に焼かれた寺院を、その遠孫の殿舎で復興したことになります。

また、織田家は平資盛の子孫とされているので、不思議な縁を感じますね。

(法楽寺HP、大阪市東住吉区HP、Wikipedia参照)


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平重盛」カテゴリの記事

コメント

厚い信仰心から創建したという説と河内源氏の動静を探るために創建したという説。
重盛に関しては、相反するような2つの説が多く見られますね。
それだけ、清盛の嫡男として注目度が高かったのでしょうね。

merryさん、コメントありがとうございます。

ここは源氏三代の墓に行く前に立ち寄りました。

重盛が長生きしていたら、平家の運命は変わっていたかもしれませんね。

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