鎌倉十井「星の井」と虚空蔵堂
江戸時代、水質に恵まれない鎌倉の地において、質の良い水が湧き出す井戸は貴重な水源でした。
鎌倉十井(かまくらじっせい)とは、水質も良く美味で、伝説やいわれが残る鎌倉を代表する十の井戸のことで、江戸時代に『新編鎌倉志』で選定されました。
鎌倉十井
鉄ノ井(雪ノ下・小町通り)
底脱ノ井(扇ヶ谷・海蔵寺)
泉ノ井(扇ヶ谷)
銚子ノ井(名越、別名「石ノ井」)
星ノ井(坂ノ下・虚空蔵堂、別名「星月夜ノ井」)
六角ノ井(材木座、別名「矢の根ノ井」)
瓶ノ井(山ノ内・明月院、別名「甕ノ井」)
甘露ノ井(山ノ内・浄智寺)
棟立ノ井(二階堂・覚園寺、別名「破風ノ井」)
扇ノ井(扇ヶ谷)
鎌倉十井のひとつ「星の井」は、極楽寺切通の登り口にある井戸。
鎌倉の歌枕「星月夜」は、この辺りの谷の名である星月夜ヶ谷(ほしづきよがやつ)からきているといわれています。
この井戸は、鎌倉十井の一つで、星月夜の井、星月の井とも呼ばれています。
昔、この井戸の中に昼間も星の影が見えたことから、この名がついたといわれています。
奈良時代の名僧行基は、井戸から出てきた光輝く石を虚空蔵菩薩の化身と思い、お堂を建てて虚空蔵菩薩をまつったという伝説もあります。
井戸の水は清らかで美味だったので、昭和初期まで旅人に飲料水として売られていたそうです。
星の井から石段を上ったところに建つ虚空蔵堂。
正しくは明鏡山星井寺。
星月の井の中に虚空蔵菩薩を見た行基がその姿を刻んで安置。
本尊の虚空蔵菩薩は、無量の福徳と知恵をそなえ、すべての願いごとをかなえてくれる仏様と言われています。
鎌倉時代には源頼朝もこれを敬って35年に一度だけ拝めるようにしていました。
現在は、毎年1月13日に開帳して拝めるようになっています。
「南無虚空蔵菩薩」と書かれた幟旗が目印です。
また、虚空蔵堂の左手前に船守地蔵があり、船乗りや水に関係する人々からの信仰をあつめています。
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